二、私、C.R.A.C.NORTH、そしてSAPPORO AGAINST RACISMは、「アイヌ民族はいるかいないか」という問い自体を即、法律的・社会的に容認できないレベルのヘイトスピーチであると主張したことはありません。 「アイヌ民族はいるかいないか」は素朴なレベルの疑問としてありえますし、また「アイヌは民族か否か」ということも、以前は学術的な問いでした。さらに、関連政策の議論の際に、アイヌ民族の範囲について問うことはありえるでしょう。 しかし、金子氏の「アイヌ民族なんて、いまはもういない」という発言がアイヌの民族性のみならず、アイヌの人としての存在否定を含んでいるものである以上、現に自分自身がアイヌ民族であると考えている人びとを前にして、執拗に民族の定義を問いつづけることは、ネット右翼のアイヌに対する典型的な嫌がらせとして成立してしまっています。 したがって小林よしのり氏とよしりん企画が、マンガやブログ、Twitterで、なおアイヌ民族の存在を問い続けるのであれば、それは現状ではアイヌに対する嫌がらせであり、場合によってはヘイトスピーチであるとの疑いをもたざるを得ないと考えますが、いかがでしょうか。
以上
質問の背景
1)経緯
金子快之(やすゆき)元札幌市議会議員は2014年8月11日に自身のTwitterで「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」と発言したことが広く新聞等で報道され、社会問題化されました。SAPPORO AGAINST RACISM[1]は、この発言をヘイトスピーチであるとし、金子氏の議員辞職を求めるネット署名を集め、賛同は最終的に1万5千筆を超えました。金子氏は所属していた自民党会派より撤回・謝罪を求められましたが、いずれも拒否し、9月9日に除名されました。さらに、9月22日に札幌市議会にて辞職を勧告されましたが、それに従いませんでした。2015年4月12日投票の札幌市議会選挙に、東区より無所属で立候補しましたが、金子氏の一連の行動に対して有権者の支持が得られず、落選しました。
加えて、現在の日本では、マンガ家に対するヘイトスピーチは成立しないと考えます。2015年1月28日、私はTwitter上で時浦氏のアカウントに対して「CartOOnist eh? Taking the piss, that’s your life?」「So you draw cartoons heh?」とツイートしました。大変失礼な発言で、申しわけありませんでした。しかしこれは非常に柄は悪いですが、普通の罵倒と云えます。マンガ家は職業ですが、例えば石を投げられるなどして迫害されているわけではありません。日本では比較的地位が高く、現在では日本を代表するサブカルチャーと云えます[6]。